qlu特別








「おはよーございます!10代目!」
「おはよ、獄寺君。じゃぁ母さん、行ってきまーす。」
まだランボとイーピンが喧嘩してるみたいで、なんだかまだ家の中が騒がしい中、母さんに声を掛けて、
学校に行く。もうすぐビアンキかリボーンがキレなきゃいいけど…。
こんなことが日常になる前は、朝ギリギリに起きて、遅刻ばっかりしてた。騒がしい朝ごはんも、朝一で
見る友達の顔も、いつの間にか当たり前になった。…けど、
「獄寺君さ、毎日大変じゃない?」
「何がですか?」
「いや、毎日オレのこと迎えに来てくれるからさ。」
獄寺君が(不本意だけど)部下になってから、毎朝こうして家に迎えに来てくれていた。
「そんなこと気にしないで下さい!通り道っスから。それに10代目がいつ敵に襲撃されわれるかわかり
ませんからね。もし登校中に敵が10代目を襲って来たら…もう身の縮まる思いですよ!」
「ぶ、物騒なこと言わないでよ…。」
友達として…っていうなら別に問題ないんだけど、こんな風に物騒な理由で、マフィアのボスと部下とし
て、朝迎えに来てくれるというのはかなり微妙な心境なんだよなぁ。
それに、獄寺君は色々やり過ぎだと思う。
宿題がかったるいと言えば、色々教えてくれるし、色んなお土産持って家に来てくれるし、戦うときは強
いし、頼りになる。…まぁ、この辺はどっちかっていうとありがたいことなんだけど、たまに変なとこで理
論持ち出してきたり、家に来たら絶対にランボ泣かすし、強いのは良いけど、喧嘩っ早くてすぐダイナマ
イト放るし…
…空回ってる、なんて本人には言えないけど。
「そんなに頑張ってくれなくてもいいのになぁ…」
「?何かおっしゃいましたか?」
「…ううん。なんでもない。」
「そうっスか。そういえば昨日リボーンさんが…」
最初に会った時は、今とは別人みたいに怖かった。まぁ、それはオレのこと敵視してただけなんだけど、
なんかもう本当にあの時からの変わり様はすごいと思う。でも、山本とかと違って、関係性がいきなり敵
から部下になってしまった分、獄寺君から見てオレはちゃんと『友達』なのかなぁ…なんて、たまに考え
ちゃうんだよなぁ。ちゃんと友達として海に行ったり、お祭りに行ったり、雪合戦したりできたのかな、っ
て。
「…ですよね。」
「へ?」
「明後日からテストですよね。…まったくあんな簡単なモンやる意味あるんでしょうか…ってどうかしまし
たか?」
「や、やばいよ!全然勉強なんてしてない…あぁぁ…今回も全教科赤点だ…。」
「だ、大丈夫ですよ!今日からやればなんとかなります!オレも微力ながら助太刀します!」
「う、うん。ありがとう…。」
そう、いつもこんな感じなんだ。
…でも、今回がチャンスかもしれない。はっきり聞いてみなきゃ。
「…いきなりなんだけどさ、獄寺君は何でいつもこんな風にオレにいつも色々してくれるの?…えぇ、と
それはオレがボンゴレのボスだからとか、そういう理由じゃなくて…」
『友達だからじゃないっスか。』なんて具体的な言葉を望んでる訳じゃないけど、『10代目だから』とか『
ボスだから』じゃない『何か』。それは、もっと曖昧だけど、とても強い…
「え、えーと…。」
獄寺君は思った通り、困ったように、顔をしかめている。
普通困るよな、こんなこと聞かれたら。でも、
「聞きたいんだ。」
「…えーと、多分自分は、ただ10代目の笑顔が見たい…んだと思います。」
「……。」
「オレが10代目の傍に居る限り、ずっと、10代目には笑顔で居て欲しいんです。…なんて変な理由です
かね?」
獄寺君は恥ずかしそうに、頬を掻いてるけどこっちだって相当恥ずかしい…っていうか獄寺君。これって
友達としての台詞…でいいんだよね?


『当たり前』は知らないうちに、『特別』になってゆく。
気付かないうちに、気持ちは進んでゆく。



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初ですよ!リボの小説は!!そして伊槇に宣言して書いた獄ツナ。
獄ツナ…というか獄寺くんとツナの関係性を自分なりに煮詰めてみた感じですか
ねぇ。
まぁ、獄ツナは公式だと思ってるんで、こうなりました。



2007.6.2